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歌をわすれてました……歌物語なのに
白玉か何ぞと人の問ひしときつゆと答へて消えなましものを
旺文社「全訳古語辞典」によれば「白玉」は真珠とのこと。でも岩波古典文学大系では「あの人があれは白玉か何かでしょうかと……」と「白玉」を「白玉」そのまんまで訳してます。ここでは真珠にしておきましょう。
「何ぞ」とは「何なんだ?」ということ。「白玉か」とあわせれば、「(それは)真珠ですか?一体何なのでしょう?」となります。
「消えなましものを」の「まし」は反実仮想、英語でいうところの仮定法です。「……すればよかったのに」と訳します。ちなみに「消えなましものを」の「な」は完了「ぬ」の未然形です。訳は「消えてしまえばよかったものを」となります。
あと、この歌では「縁語」が指摘されえます。具体的にいえば、ここでは「露」と「消ゆ」が縁語です。では「縁語」って何?
ベネッセ「全訳古語辞典」では、「主として和歌の修辞技巧のひとつ。一首の歌の中のあることばと、意味や音声の上で密接に関連することば」とあります。う~ん……。
この説明だけだとわかりにくいかもしれませんので、捕捉説明。まず縁語というのは、何らかの特徴のある単語ひとつの性質を示すものではありません。2つ以上の単語の関係を示したものです。
詳しく説明しておきましょう。縁語の前提として、最初に言葉のグループ分けがあるんです。そしてそのグループ分けは歌とは無関係に成立しています。「露」は「消える」ものですから、「露」と「消ゆ」は同一グループとみなされます。この同一グループに属する単語が一つの歌に登場した時、それらの単語は「縁語」と呼ばれるのです。この場合は「露」と「消ゆ」が縁語になります。わかります?
面倒なのは、この縁語の全体像がどうにも見えにくいことです。グループ分けがどうにも見えにくくて、全体像がとらえにくい。一体何と何とが、同一グループになっているのか、わからない。ベネッセは具体例を示しているので、いくつか引用しておきますと、〔岩ー苔〕〔霧ー晴る〕〔涙ー流る・水〕などとあります。そして露も示されていますが〔露ー秋・命・置く・葉〕とされており、「消ゆ」がない。曖昧ですね。
私が〔露ー消ゆ〕が縁語といっているのも、どの資料もここが縁語といっているからですしね~(納得はしていますが)。
ま、縁語はこれくらいにして訳しておきましょう。
「(あれは)露ですか?何なのでしょうか?」とあなたが尋ねたとき、「露ですよ」と答えて(露のように)消えてしまえば(死んでしまえば)よかったものを……。
ひとり取り残されたのが悔しくて悲しくて、もうどうしようもない。やはり男は死ぬほど苦しんでいるのですね。
この歌については、もう少し解説しておくべきことがあるので、続きます。
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