シンプルに
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今日は文法です
女のえ得(う)まじかりけるを、
ポイントは2つ。どちらも絶対必要です
①「え~ず」……不可能を表します。今回は「ず」のかわりに「まじ」が使用されています。「まじ」は打消推量と考え、「手に入れることができそうにもない」ぐらいで考えておきましょう。
〔参考〕
・子は京に宮仕えしければ、詣(まう)づとしけれど、しばしばえ詣でず(伊勢84)
(訳)子は京都で宮仕えをしていたので(母のいる長岡に)参上しようとしたけれど、たびたびはとても(公用が忙しくて)参上することができない)
・「ただし、この玉、たはやすくえ取らじを、いはむや竜(たつ)の頸(くび)に玉はいかが取らむ」(竹取 竜の頸の玉)
(訳)しかしながら、この(五色に光る)玉を、容易にはとても取ることはできないだろうに、まして、竜の首に(あるその)玉はどうして取ることができるのだろうか、いや取る事ができないだろう
以上「ベネッセ全訳古語辞典」
・人のそしりをも、えはばからせ給はず
(訳)(桐壺帝は)人々の非難をも気がねすることがおできにならないで
以上 旺文社「全訳古語辞典」
②同格……日本語では、修飾と被修飾は必ず「修飾ー被修飾」の順番に置かれます。「きれいな花」は問題なしですが、「花きれいな」は日本語としてヘン。整理してみましょう。
A「きれいな花」……これ、別に問題ない。
B「花きれいな」……花がどうしたの?きれいな何?ということで問題あり。日本語としてダメ
C「花のきれいな」……花があって、それがきれいで、きれいな何?それがどうしたの?
Aは現代文でも古文でも通用するスタンダードな形式
Bは現代文でも古文でもダメ、通用しない形式
Cは現代文ではダメだけど、古文ではOKの形式……これが同格です
同格とは、「修飾ー被修飾」の順番が「被修飾ー修飾」の順番にひっくり返っていて、被修飾語と修飾語との間に「の」が置かれている現象のことなんです。古文を読んでいると、ちょくちょく登場します。
処理の仕方は「被修飾ー修飾」が、そもそもの問題なんだから、これをあるべき姿にもどしてやればいい。「被修飾ー修飾」→「修飾ー被修飾」ですね。もちろん、同格の「の」は除去します。
「女のえ得まじかりけるを」→「え得まじかりける女を」
ね、これだけ。わかってしまえば簡単です。
でも、試験(記述式)では現代語訳するときに「修飾ー被修飾」の順に並べ替えて訳することは、どうしてだか知りませんが、しないんです(こっちの方がシンプルなのに)。
じゃ、どう訳すのか。「で」を使います。
「女のえ得まじかりけるを」→「女で手に入りそうにないのを」
これでも悪くはないんでしょうけどねぇ……。
言葉の順序を変えたくないんでしょうが、後半部(入りそうにないのを)が苦しいですねぇ。
「女で手に入りそうにない女を」としてみても、今度は「女(被修飾語)」が2度繰り返されることになりますしねぇ……。
「女で手に入りそうにない人を」というのは、「人」なんて言葉をあらためて持ってくるのも、逆に面倒くさいとおもうのですがねぇ……。
なぜか、「被修飾ー修飾」→「修飾ー被修飾」にしないんです。
すればいいのに、と思うのですが、やらない……。
みなさんは、どう思います?
現在のところ、私は記述問題に出題された時は頑張って「で」を使って処理してね、
でも単に読んでいるだけ、とか、試験問題になっていない、などといった場合には、修飾語を〔〕でも使いながらひっくり返したほうが早いよ、と説明してます。
〔参考〕
参考書を確認してみましょう。
・いと清げなる僧の、黄なる袈裟着たるが来て(更級日記)
→たいそうさっぱりした感じの僧で、黄色い地の袈裟を着た僧が来て
以上 数研出版「体系古典文法」7訂版
・継母なりし人は、宮仕えせしが下りしなれば(更級日記)
→継母で合った人は、宮仕えをした人で、(一緒に)下った人であるので
・雁などの連ねたるが、いと小さく見ゆるはいとをかし(枕草子1)
→雁などで列をなしているの(雁など)が、たいそう小さく見えるのは、たいそう興趣深い。
以上 尚文出版「これからの古典文法」
※尚文出版さんは、「同格の訳し方」としてまとめてくれてますので、引用します。
(1)「が」〔同格の「が」というのもあります〕または「の」を「~デ」と訳す
(2)上記④〔継母の例文です〕のように連体形についている時は、必ず体言を補って訳す。(「宮仕えした人で」)
(3)同格の対象になる部分の連体形の下には、同格の「が」「の」の上にある体言を補って訳す。
④〔継母の例文〕=下った人であるので
⑤〔雁の例文〕=列をなしている雁などが
以上、引用でした(〔〕内部は、私が補いました)。
やっぱり「~で」を使って訳さなきゃいけないんですかね……。
そっちのほうが面倒くさいし、不格好と思うんですが……。
もう少し調べてみましょう
・精進物の、いと悪しきを打ち食ひ……(枕草子7)
→(僧は)肉類を使わない食事で、たいへん粗末なものを食べ……
・年いみじく老いたる媼の白髪白きが、その枕上にいて……(今昔物語)
→年をひどくとった老婆であって、しかも白髪の白い女が、その死人のまくらもとにすわって……
以上 「ベネッセ全訳古語辞典」
今昔は「であって」となっていますが、順番を変えていないと言う点では、「で」を使うパターンとおんなじですね。
ベネッセは「古語ならではの同格」というコーナーを設けてます。読んでみると、やっぱり「で」を使って訳す方法を採用してます。
ひっくり返したほうが楽なんだけどなあ(笑)
そっちのほうが、かっこいいと思うんだけどなぁ……。
まぁいいや
もし、使えると思ったら、使ってやってください。
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