忍者ブログ

今日の国語

シンプルに

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

芥川10

芥川といふ河を率て行きければ、草の上に置きたりける露を、
「かれは何ぞ」
 となむ男に問ひける。
 
 「芥川」の話も10回目になるのに、ほとんど進みませんね……。まぁ、気長にやっていきましょう(苦笑)。
 さてこれまで「芥川といふ河を率て行きければ」を「芥川という川に(女を)連れていったところ」と訳すところまで来ました。
 次です。
 「草の上に置きたりける露を」は、「草の上におりた夜露を」でいいでしょう。夜露を「置く」というのは現代人の私たちにとって「ヘン」ではありますが、こう訳すしかないでしょうね。
 「かれは何ぞ」の「かれ」ですが、現代語でいう「あれ」でしょうね、とりあえず。
 これは指示語で、現代語では手元から始めて「これ」→「それ」→「あれ」となって、段々遠くなっていきますが、古語では「あれ」のもう一つ先に「かれ」があるのです。整理しておくと、こうなります。
 
これ(とても近いものを指す)
それ(結構近いものを指す)
あれ(ちょっと遠いものを指す)……現代語はここで終了
かれ(遠いものをさす)
 
 並べてみればわかりますが(並べなくてもわかるかな)、ポイントになるのは「こ・そ・あ・か」です。「こそあど言葉」ってありますよね。要するに、これって「こそあど言葉」です。これに「か」が入っているわけです(ちなみに「ど」は疑問詞「ど」)。「こなた→そなた→あなた→かなた」なんていうのも同系列ですね。
 現在は「かれ」といえば「彼」であり、男性に対する3人称であり、「これ、それ、あれ」の流れには入っていませんので、ここでは「あれ」と訳しておきましょう。
 「何ぞ」の「ぞ」は強調です。あまり深く考えないこと。考え始めると、すごくディープな世界へと入っていくことになります(笑)。ここでは「一体」という言葉をつけて、誤摩化しておきます。もちろん、「一体」が無くても結構です。
 ということで、「かれは何ぞ」は「あれは一体何でしょうか」となりますかね。丁寧語を使ったのは、女性らしいやわらかさが欲しかったからです。「ありゃ、一体なんじゃいな?」でも文法的には間違いないんですが、お姫様の言葉としてはね〜。
 「となむ問ひける」の「なむ」は係助詞。強調を表しますが、無視してもらって結構です。今後、係助詞「なむ」が登場したら、翻訳上は無視することにしましょう。
 「問ひける」の「ける」は間接過去。係助詞「なむ」の影響で、連体形になるわけです。所謂「係り結び」です。
 ここでは直接過去「き」ではなく、間接過去「けり」が使われているのもちょっとチェック。このお話は実体験ではないことを示しています。
 
 今回はさくさく進みました。
 それにしても、このお姫様はすさまじい方なんでしょうね。なんせ、夜露もみたことがない。夜になれば早々にお休みになるのでしょうか?
 
 
PR

コメント

現在、新しいコメントを受け付けない設定になっています。

カレンダー

03 2025/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30

フリーエリア

最新コメント

プロフィール

HN:
今日国庵主人
性別:
非公開

バーコード

ブログ内検索

P R