忍者ブログ

今日の国語

シンプルに

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

芥川⑧「未然形+ば」説明

芥川といふ河を率て行きければ、草の上に置きたりける露を、
「かれは何ぞ」
 となむ男に問ひける。
 
 今日は、いよいよ「ば」の話です。「ば」だけです。やっぱり話は進みません。
 
 さてさて、「ば」についてです。古文を勉強する上で、ここは非常に重要です。
 なぜ重要なのか、ですって?
 現段階では、そのへんに頭を使うのはやめましょう。
 重要なものは重要といいますので、「ああ、重要なのね」と思っといてください。
 それでは。
 
 「ば」が問題となるとき、それは必ず「ば」の前にある単語(用言)を含めて問題となります。
 具体的に言うと、「ば」の前が「未然形」なのか「已然形」なのか、ということで、問題となるのです。
 これ次第で、文の意味が変わってきます。
 
 では「未然形」とは何か?「已然形」とは何か?
 ここから話を始めましょう。
 
 未然形、已然形とは活用の形ですね。普通はそこで終わるのかもしれませんが、この文字面をよく見てください。「未然」と「已然」と、形は似ていますよね。漢文が得意な人は、もうお分かりかもしれません。書き下し(訓読)してみましょう。
 
未然→未だ然らず(いまだ しからず)=まだ、そうじゃない
已然→已に然り(すでに しかり)=もうすでに、そうだ(そうなっている)
 
 なんのことはない、未然と已然とは、「まだ」と「もう」という具合に、意味が正反対なんですね。
 だから、未然形は「まだ」のニュアンスがあり、已然形には「もう」のニュアンスがあるわけです。
 誰が「未然形」「已然形」と命名したのか知りませんが、よくできてますね。
 
 前述のとおり、「ば」の用例は2種類あります。
 ひとつは「未然形+ば」、もうひとつは「已然形+ば」です。
 この2つは訳し方が違うのですが、どう違うかというと、「未然形+ば」は「まだ」のニュアンスをもっており、「已然形+ば」は「もう」のニュアンスを持っているのです。すなわち……
 
「未然形+ば」→(まだそうなってはいないんだけどさ)というのが前提にある
「已然形+ば」→(もうそうなっているんだけどさ)というのが前提にある
 
 これが、「ば」の問題を考える上での、全ての根幹になります。
 簡単な方からやりましょう。「未然形+ば」からですね。例文を見ながら説明しましょう。
 先日アップした資料です。
 
①悪人のまねとて人を殺さば、悪人なり(徒然草85)
 
 「ば」の前に「悪人のまねとて人を殺さ」とありますね。
 ポイントになるのは、「ば」の直前、「人を殺さ」の部分。「殺さ」は四段動詞「殺す」の未然形。
 未然形ですから「まだ」のニュアンスがあるはずですね。
 つまり、「まだ殺してないけどさ」という意味。
 これをもう少し発展させたのが、「未然形+ば」なんです。
 つまり、「まだ殺してないけどさ、もし殺したとすればだよ、……」となるのが「未然形+ば」なんです。
 もう少し突き詰めておくと、「まだそうなってはいないけどさ、もし、そうなったらだよ」というのが「未然形+ば」の訳し方で、こういう訳し方を「仮定条件」といいます。「仮定」とは「もし、そうならば」という言い方のことですね。
 
 訳です。
  →悪人のまねだといって人を殺すならば、(それは)悪人である。(数研出版「体系古典文法」)
 
 あとは同じ要領ですね。
 
②宮仕へに出だし立てば、死ぬべし。(竹取物語)
 「出だし立つ」という言い方が面倒ですが、ここでは「出す」の意味です。ですから「まだ宮仕えに出していないけどさ、もし出すとすればだよ」というニュアンスが前半部にあることになりますね。
  →宮仕えに出すならば、死ぬつもりだ。(尚文出版「これからの古典文法」)
 
③折りとらば惜しげにもあるか桜花いざやど借りて散るまでは見ん(古今/春上)
 「折りとらば」=「まだ折りとってはいないけど、もし折りとるとすればさ……」
  →もし折取ったらいかにも惜しいなあ。桜の花をさあ宿をとって散るまでみよう。(文英堂「全解古語辞典」)
 
④都にあるならば、またうきめをもみむずらん(平家1・祇王)
 ここでは主語が提示されていないので訳しにくいですが、主語は人です。
 「都にあるならば」=「まだ都にいるわけではないが、もし都にいたら……」
  →こうして都にいたら、またつらいめをもみるだろう(文英堂「全解古語辞典」)
 
おわかりでしょうか?
あとは例文と訳だけ出しておきますね。
 
⑤ただ今、行方なく飛び失せなば、いかが思ふべき(更級日記・大納言殿の姫君)
→たった今、(私が)行く先も知れず飛んでいなくなってしまったら、(あなたは)どう思うつもりなのか
ベネッセ「全訳古語辞典」
 
⑥道長が家より帝、后立ちたまふべきものならば、この矢当たれ(大鏡・道長上)
→(この私)道長の家から天皇や、皇后の位にお就きになる(人物が出る)はずのものであるならば、この矢が命中しろ(ベネッセ「全訳古語辞典」)
 
あしたは、ややこしい(=めんどくさい)「已然形+ば」を説明しましょう。
 
 
 
 
PR

コメント

現在、新しいコメントを受け付けない設定になっています。

カレンダー

03 2025/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30

フリーエリア

最新コメント

プロフィール

HN:
今日国庵主人
性別:
非公開

バーコード

ブログ内検索

P R