訓点はあきらめました……。
それでも、一応の解説はできますので、説明していきましょう。
まずは眼から
漢文といえば、「句法」が最初にうるさく言われます。
全部でいくつあるのか知りませんが、あれも覚えとけ、これも覚えとけ、と言われて不愉快な思いをした人もいるかもしれません。
でも、句法以上に大切なことってあるんです。
それは眼です。
漢文というのは非常に特殊な言語でして、文字の横に数字(訓点)やら仮名(送り仮名)が置かれています。
漢文をスラスラ読めるというのは、本文の文字、訓点、送り仮名の3種を同時に脳内で処理できるということです。
そして処理するためには、この3種を同時にみることができなければなりません。
これって結構難しいことなんです。
だから漢文が苦手という人は、大抵、読みの段階でひっかかっています。
漢文が苦手、という人は、まず音読してください。
そして眼を鍛えてください。意味なんか多少わからなくてもかまいません。
初見の漢文をスラスラ?読めるようにならなければ、時間が足りなくなってしまいます。
(これは古文や英語にも言えることです)
とはいえ、「音読ができればいいや」ぐらいの軽い気持ちで、毎日音読していても、かなり上達します。
センターまで時間はありませんが、それでも訓練する時間としては、十分です
「自分は読むのが遅い」と思ったならば、音読して眼を鍛えてください。
句法云々は、その次のことです。
形式からはいる
今日は課題文の分析から入ります。
東坡元豊間繋御史獄、謫黄州。元祐初、起知登州、未幾、以礼部員外郎。道中偶当時獄官、甚有愧色。東坡戯之曰「有蛇螫殺人、為冥官所追議、法当死。蛇前訴曰『誠有罪、然亦有功、可以自贖』。冥官曰『何功也』。蛇曰『某有黄、可治病、所活已数人矣』。吏考験、固不誣、遂x。良久、牽一牛至。獄吏曰『此牛触殺人。亦当死』。牛曰『我亦有黄、可以治病、亦活数人矣』。良久、亦x。久之、獄吏引一人至。曰『此人生常殺人、幸免死。今当還命』。其人倉皇妄言亦有黄。冥官大怒、詰之曰『蛇黄・牛黄皆入薬、天下所共知。汝為人、何黄之有。』左右交訊、其人窘甚曰『某別無黄。但有些慚惶。』」
全一段落なのでわかりにくいですが(訓点がないのでなおさらですが)、この文章は一定の構造に基づいて構成されています。
東坡元豊間繋御史獄、謫黄州。元祐初、起知登州、未幾、以礼部員外郎。道中偶当時獄官、甚有愧色。東坡戯之曰
この部分は、地の文です。そして残りは全部会話文から成立しています。
地の文から確認しておきます。ややこしいことを言っているようにも見えますが、実は単純なんです。
東坡元豊間繋御史獄、謫黄州。元祐初、起知登州、未幾、以礼部員外郎。
元豊、元祐はともに年号です。元豊のときは、御史の獄につながれ、黄州に流されたのだが、元祐のはじめの頃は、登州の知事となり、次に礼部員外郎となったとありますが、要は元豊のときに追放処分、元祐のときには、島流しどころか、出世した、と言っているだけです。
対比ですね。対比を使えば、話を簡単にすることができます。
御史獄云々などに、あまり悩まないようにしてください。そんな知識関係のこと、きかれるはずないんですから。
残りをみてみましょう。
話が3段落で構成されていることがわかりますか?
A 「有蛇螫殺人、為冥官所追議、法当死。蛇前訴曰『誠有罪、然亦有功、可以自贖』。冥官曰『何功也』。蛇曰『某有黄、可治病、所活已数人矣』。吏考験、固不誣、遂x。
B 良久、牽一牛至。獄吏曰『此牛触殺人。亦当死』。牛曰『我亦有黄、可以治病、亦活数人矣』。良久、亦x。
C 久之、獄吏引一人至。曰『此人生常殺人、幸免死。今当還命』。其人倉皇妄言亦有黄。冥官大怒、詰之曰『蛇黄・牛黄皆入薬、天下所共知。汝為人、何黄之有。』左右交訊、其人窘甚曰『某別無黄。但有些慚惶。』」
この3段落は相互に意識して構成されています。
構成のあり方が単純なんです。
この構成のあり方を十分生かすことができれば、この問題は比較的容易に解答することができます。
どのようにやればよいのか。
明日、お話します。考えておいてください。
今日はここまで。
PR